沖縄良店

はな火〜専門店レベルの料理が出る居酒屋〜

浦添にある小さな居酒屋「はな火」。

知人からお気に入りのイイお店があるという聞いていた。

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平日でもいつも満席。

電話の声で名前を覚えてくれ、店から出る時は表まで見送ってくれる。

沖縄では珍しい、サービスレベルの高いお店だという。

プライベートで何度か足を運んでみて、確信した。

早速、取材の了承を得て、営業準備前の昼間におじゃますることにした。

15時。

店の中に入ると、既にスタッフが待機しており、開店準備に追われていた。

店長との挨拶を簡単に済ませ、インタビューを開始する。

◎お店のこだわり

店の外装および内装は、特に奇をてらったところはない。

こぎれいではあるが、標準的な佇まいのお店。

なぜこのお店が、平日休日問わず、いつも賑わっているのか。

そのヒントを聞き出すべく、店長兼オーナーの松田さんから話をお伺いした。

名前の由来〜はな火〜

ー「まず、名前の由来について教えて下さい。」

店長「元々わかりやすい、覚えやすい名前にしようと思っていました。当時は難しい漢字とかアルファベットの店名の店が多い時代でしたから。きっかけは単に「”はなび”ってどうよ?」ということこから始まりました。お客さんとの後付ですが。花火といえば、お祭りのイメージ。お祭りには人が集まる。他にも花火というお店はありましたが、うちはひらがなと漢字で”はな火”」

なるほど、覚えやすく、親しみがあり、縁起もいい名前。

そもそも、なぜ店を作ろうと思ったのか。

元々はチェーン店店長、気心知れた仲間たち

ー「お店をつくろうと思ったきっかけは?」

店長「元々はチェーン店の居酒屋の店長していました。一時期のチェーン店時代は、利益に走りすぎて、食材やサービスに影響が出ていたんです。お客さんが喜ぶというよりも、利益重視、回転重視というところがありました。自分が元々好きでやっていた仕事が、嫌いになりかけていました。そこで、自分の周りにこの事を話したところ、本当にお客さんに喜んでもらえる店を自分らで作るかとなりました。どこでもいいから、自分たちがいいと思えるお店、お客さんに喜んでもらえる店を作ろう。僕がお金を借りたので、一応オーナーという立場ですが、スタッフはみんな仲間、身内。休みも一緒で飲みに行ったり。ここでは妻も働いていますし、社員4名と店長オーナー含めての5人体制。みんな成長してきて、40席のこの店なら、この人数で大丈夫です。そして、1年に一回、4日間店を閉めて、色んな所に行きます。食べ歩きの慰安旅行。そこで、サービスや料理の視察も兼ねています。」

 

一つ屋根の下、皆で一緒に考え、店作りする風景が思い浮かぶ。

専門店に負けない、料理の美味しい居酒屋を

―「お店をつくるにあたって、どのような店にしようと考えたのですか?」

店長「色々な専門店がありますよね。例えば寿司、割烹、焼き鳥など。でも専門店にはいつも行けない。一方居酒屋は、値段もそこそこで、料理もたくさん。気軽で行きやすいが、料理が専門店に負けますよね。しょっちゅう専門店にかよって、居酒屋を回って、勉強して、アソコに行けば料理が美味しいよという店を作りたくて、今も近づけるよう努力しています。どんな炭を使ってるのか、仕込みをしてるのか、聞いたり。お刺身も、割烹で出すようなものを使っていますが、値段は半分ぐらいでだしてるから、利益が少ないです。でも、生活できて、スタッフの給料が払えれば良いです。」

 

―「集客に広告とか、お使いですか?」

店長「常連さんが多く、すぐに店がいっぱいになります。だから、一時期、広告はやめました。まあ、でもアツい営業には弱いので、
しょっちゅうお客さんとしても来てくれた方に少しだけ。」

 

元々営業をやっていた松田さん。気持ちは分かる。

ここでも、人に対する、温かく優しい一面が見れた。

昔のままの居酒屋の空気感

―「お店の内装についてのこだわりを教えて下さい。」

店長「個人的にあんまり個室が好きじゃないですね。確かに個室への予約が多いです。でも自分が好きなのは、オープンな席。これが嫌なら、この店には来ないはず。横のお客さんが見えて、距離が近いお店をイメージしました。要するにバーのカウンターみたいに。見ず知らずの人が仲良くなったり。バーとかだと知り合いになれるでしょ?」

 

ー「個室を好まない理由は何ですか?」

「昔の雰囲気で、風が通っていそうなのが好きです。個室だったら、居酒屋じゃなくてもいいじゃないかと思うんです。居酒屋は賑やかで、顔が見えて。暗いのは嫌いです。あ、でも次作る時は、個室もっとつくろうかな。予約入るし。」

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料理も接客もこころひとつ

ー「接客については、気をつけていることとか何かありますか?」

店長「何も言ったことはありません。客に接する時のマニュアルはないですね。すべての接客はスタッフ自らが考えてやっています。元々スタッフがホールをやっていた接客のプロフェッショナルで、自分より、よく知ってます。言葉遣いではなく、お客さんを喜ばせるためにどうするかということだと思います。この店では、『店長を出せ』まで言われて事はない。チェーン店では毎日だったけれど。言葉遣いでは怒らないですね。料理で例えれば、レシピがあったとしても、同じ料理は作れないと思います。同じものを作るとして、心のない経験者と愛情持った素人では、素人のほうが勝ることがあるんですよ。作る人の心ひとつで違うと思います。だから、おきなわそばのおばあみたいに、『あんた、元気してた〜。』とか、気持ちが通じれば、それでいいと思います。」

 

新鮮な魚を食べてほしい。

以前、何度か足を運んだことがあるお店。

メニューの中で、気に入っているのは、イクラがたっぷり載っている「はな火チャーハン」という料理だった。

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そのことを話すと。

店長「上に載ってるイクラは、500グラムで4人分ぐらいしか作れないです。それを数百円で出してるので、あれは原価みたいなもんですね。あと、今度、魚を食べてみてください。海鮮、魚の仕入れに力を入れてます。月に数十万円の仕入れをしています。割烹料理屋で出すようなものを毎日仕入れますので、新鮮なものをその日のうちに。だからクーポンとかでも、刺し身を出してます。お客さんにどんどん食べてもらうようにしてます。」

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もう一店舗は地固めをしてから

このような人気店ならば、是非他のところにも出店してほしい。

そして、お店も継続してほしいという思いが湧きだした。

 

―「今後の展望を教えて下さい。他のところにもお店があれば、お客さんも喜ぶと思いますが。」

店長「店を建てて、5年になります。お客さんもマンネリ化してるかなと考えていますので、ここで、もう一度、立てなおして、地固めしたいです。この業界は流れが早いので、乗り遅れないよう勉強して、長く続けていきたいですね。いつ来てもメンバー、雰囲気、料理が変わらない。そういうお店でありたいです。まずこの店舗できないと、もう一店舗はできないと思います。また、この店舗でそれができたら、他のメンバーに任せられます。でも、みんなの給料をあげるためにはやらないといけないと考えてます。」

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お店は決して大きくない。だが、大きくないからこそできることがある。

お客さん、スタッフに目が届く。それにより気配りの効いたサービスを提供できる。

そして、賑やかな雰囲気、客とスタッフの遠くない距離感。

店はにぎわい、うまく行っている様子だが、常に改善していく姿勢。

店が客を呼び、客が常連となるのも、しっかりした考えがあるからこそ。

店長兼オーナーの松田さんの爽やかな笑顔の奥に、客と仕事に対するの愛を見た。

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◎採用について

引き続き、もしスタッフを採用するならということで、基準について聞いてみた。

倍ぐらいのスピードで成長する。

―「採用したい人というのがあれば教えて下さい。」

店長「経歴、経験、資格は関係ない。いらないと思っています。経験がなくても、年をとっていても、覚えたい、好きだ、勉強したい、ゆくゆく自分で商売したいという気持ちがあれば、倍ぐらいのスピードで成長します。そんな子を目の前にしたら、断れるはずないですよね?下手に資格、経験があるよりは、その子が目標を持ち、目的がはっきりしているならば、問題ないです。とりあえずではない、コレをやりたいという気持ちは、人を見れば、話せば分かりますよ。中卒。やんちゃしてた。関係ないです。好きであれば、もっと知りたい、もっと知りたいってなりますよね。言われたことじゃない、自分で魚を買ってさばいたり、他のお店に見に行ったり。
『店長、他の店でこんなのしてたよ。うちでもやらないんですか?』とか。キッチンもホールも一緒。接客業でお客さんを喜ばせたいとか、そういう気持ちが大切です。」

 

とりあえず、言われたことだけではダメ。

―「今度はこういう人は不採用というのがあれば、教えてください。」

店長「こんな子はダメというのはない。特に高校生は2週間で変わる。だから、面接では一概には言えない。2週間で変わり、一年でスペシャリストになった子もいますからね。」

 

―「なるほど、でも、あえて言うなら、」

店長「ん〜。(しばらく無言)とりあえずで居酒屋のバイトを選んだとか。最低、車の免許もいらないし。やっぱり言われたことはやる人って、言ってやらせて50%の出来。自分から何もしない人は何やってもダメだと思います。あと、あえて言うならば、知ったかぶり。聞きもしないで、自分で判断する。お客さんに聞かれて、店に聞きもしないで、”出来ない”と勝手に判断するとかね。」

 

はな火のスタッフ採用にあたっては、経験・資格ではなく、働く人の思いを重視していた。

そして、その思いを目に見える形で、表現することが求められている。

だが、よくよく考えれば、お客様や仕事への思いがあれば、当然あって良いことばかりだ。

血のかよった、人として人を応援する気持ちが伝わってきた。

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◎取材あとがき

お話を聞いて、この店がなぜ客でいっぱいなのか。

なぜ常連客がたくさんいるのか、その片鱗を垣間みた気がする。

店をやるにあたっての根本的なところがブレていない。

そのファンが来る。そして、その事をスタッフ全員で、共有し、理解しあっている。

ここは、店長とスタッフの関係ではなく、仲間。一つのチームとして機能している。

店の台所事情、店長の財布事情まで分かり合っているからこそできる、

気持ちの通じ合った人々で作り上げた店は、強いなと感じた。

 

店長「このメンバーなら、どこでもやれると思っている。」

◎ 店舗情報

居酒屋 はな火
住所 〒901-2127 沖縄県浦添市屋富祖1-3-18 1F
電話番号 098-877-7721
営業時間 火~日 17:00~翌2:00(L.O.1:00)
定休 月曜日

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