沖縄良店

天ぷら食堂 京風天ぷら「桜囲」〜壺屋の揚げ出し天ぷら〜

こんな店を求めていた。

 

そこは庶民派の天ぷら食堂。

開南のバス停を壺屋方面に下ると、その天ぷら専門の定食屋はある。

”本土”の天ぷらを、揚げ出しで食べられる店だ。

 

沖縄の天ぷらは衣が厚く、いわゆるフリッター。

だがここは違った。 ”本土”の天ぷらを揚げたてで出す。

店主の櫻井さんにお話を聞いた。

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◎お店のこだわり

ー店名の由来を教えてください。

「自分の名前からとっています。(本名は)旧仮名使いで木に、貝2つに、女で「櫻」。井は普通の「井」。また(店のロゴに)桜吹雪を散らしたってのもあります。桜に囲まれて、和のテイストだということを色濃く教えたかった。伝えたかった。お客さんにね。

「京風天ぷら」と書いてあるけど、実はスタートの時点では「和天ぷら」と書こうとしたの。ところがさ、お年寄りが多い地域なので「やまと」という表現をしたらいいのか「内地」という表現をしたいいか分からないんだけど、外来者というのかな本土から来た人間という意味で、(沖縄の方々に)排除されるという意味ではなくて、わざわざ好んで接触する必要がない。お客さんになってもらうために、みすみす余分な”川”をつくってしまう可能性があるから「和天ぷら」とハッキリ書かないほうがいいよ、という話がおこったもんですから。

苦肉の策で京都を勝手にイメージしてもらえればという話もおかしいんだけれども、要するに「うちなー天ぷら」こちらのフリッターのような天ぷらとは違う、おやつ天ぷらとは違うんですよ、天つゆとかお塩を使って食べてもらいますよということと、揚げ出しにこだわろうと思ってたんで、揚げる都度、ひと品ずつお客さんに提供するというスタイルを踏襲したかったんで、苦肉の策で和のテイストだということを知ってもらえるように「京風天ぷら」というふうにしました。

あと実は入り口の◯に囲まれてるのは「和」というサインなんです。お酒でもこんなマルってあるでしょ?あれは「和」という意味合いらしいです。ついでと言ってはなんなんだけど、店名を入れるときに、私の旧仮名使いで店名を入れるよりも、桜を散らしたこともあって、桜に囲われると書いて、あれなら誰でも「さくらい」と読んでくれるでしょ?」

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ーどうして揚げ出しの天ぷらを出す食堂にしたのですか?

「まず沖縄にあんまりないから。

沖縄にも2〜3あるにはあるんですよね、それを専業にしてる所って。いわゆる天ぷら屋さん。じつはそんなに多いわけではないんだけれども、居酒屋さんの和天ぷらというのは存在するぐらいだし。でまあ、その中で家庭料理との天ぷらとは一線を引きたいという思いがあったんで。

油物だから毎日食べるものではないんで。週一なのか、月一なの分かりませんけれども、たまに外食でもいいねって思える人にリーズナブルな価格帯で提供すれば、裾野を広げられれば採算ベースには乗る。乗るでしょうということですね。」

 

ー本格的な天ぷらとしては、お値打ち価格ですよね?

「安いと思います。自分で言うのもおかしんですけど。ただ自分の都合で値段を決めても仕方がないので。妥協しない線?のギリギリの所と言った方がいいのかな?できる努力を惜しまないようにとは思ってるので。

インスタントもののツユだとか如何様にもなるんだけど、そこら辺のものは一切使わない。出汁をひいて、化学調味料も使わないし。本当に手間をかけてます。」

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ーお店づくりのこだわりについて、教えてください。

「インカウンターで。

インカウンターサーブに徹しようと思ったんで。私達は中から出ること基本的にないですから。券売機を置いてるのもそうだし、飲み物がセルフだし。その分、当然人件費が落ちていくわけで少なくてすむ。少なくともその分だけは価格に跳ね返されていくというね。動線距離も短くて済む。お勘定の取り違いもない。

で、(店の来店)中に入ってみて「高くて」と言うお客さんが、中にはいたりするじゃないですか。この地域だと300円のお弁当も売ってるし。ちょっと生意気な言い方だけど、お客さんもお店を選ぶ権利があると同時に、お店もコレぐらいのお客さんにこの時間帯にこういうふうに来ていただきたいと、店が来ていただきたいお客をイメージできるような店作りをしたいと思ったんです。」

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ー接客のこだわりについて教えて下さい。

「待たせない。それが絶対条件です。

ニーズとウォンツを取り違えてる店がありますね。顧客のニーズと、自分の考えるウォンツ。ニーズを満たさないとお客さんが不満になっちゃうのね。満たさないといけないものがニーズ。ウォンツってのはなくてもいいけど、あればお客さんは喜ぶよね?たとえばトイレが大理石、金箔。

得てして商売をやっていくと、僕もそれに陥った時期がどうしてもあったんだけど。とかく自分が勝手に思うウォンツを最優先に追求してしまうから。お客さんの不満要素となるものをついつい見逃してしまう。それが一番怖いのかなって。だから徹底的に必要なもの不要なものを徹底的に、自分の中で徹底的にやってますね。」

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◎採用について

ーこういう人に働いて欲しいというのはありますか?

「運命共同体だからね、同じ苦労ができる人。

僕のクセなのか分からないけど、コレしてほしい、アレしてほしいということよりも、して欲しくないことを先に言う。当たり前のことだけど、お金ごまかさないでねとか。アレが出来る、コレ出来るという人を求めようとすると自分のカラーが段々変わってきちゃうからね、お店の。

だから、店舗のコンセプトを明確にして、こういうものをこういうサービスを通して、お客さんに知らせたいとか、自分の頭の中に描いているイメージの具現化のために、店というツールがあると。故にウチはワンコインじゃないから、千円札一枚でお客様がで20分から30分。週一回のお客さんによっては贅沢かわからないけど天ぷら。週に一度の和天ぷら、サクサク天ぷら。だからクリンネスには一生懸命気をつけてるつもりです。少なくとも清潔じゃないとお客さんは不満。それこそニーズに逆らうことになるから。あとお客さんとの約束で、科学調味料を使ったりとかインスタントの出汁とかを使ったりはしません。それを具体化させるために。

京風天ぷらの名前の由来についての説明もスタッフ全員ができる。スタッフと一緒に集客のミーティングもします。運命共同体ということで。まかせることは徹底的にまかせるし。ま、まかせっきりというのとはまた良くないんだけどね。最初はどんな名人も素人ですから。」

 

ーでは、こういう人はNGというのは?

「はじめに「いくらほしい?」って聞くじゃない?

沖縄だとスタートは10万、13万とかそのくらいの答えが必ず帰ってくる。最低10万というなら、分かりました。10万払いますと。ただし、最初の1ヶ月間はまるっきり仮雇用期間。一ヶ月以内に首切ることはしません。不都合があっても我慢します。一ヶ月後に仲間として継続できるかどうかというのはハッキリ伝えます。一ヶ月後にダメだったら、ごめんなさい。一緒にやっていけませんという判断を僕がする。それについて、労基法に基づいてナンチャラカンチャラだったら、この段階でお引き取りくださいと。

で、夢を語るのはその後だから。

第一印象でNOはないです。」

 

◎今後の展望について

ーお店のこれからについて教えて下さい。

「同じ形態の店を、できるだけ早くあと2軒作って、3店舗展開して真剣に回していきたいと思ってます。

(マーケットとして)今は点でしかないから、2店舗目ができたら線になるし、3店舗ができたら面になるし。あとはどこに展開しても面が広がっていくでしょ?」

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◎取材あとがき

第一印象、お値打ち!

いただいたエビ天はプリプリを超えブリンブリン。「生か?」と思った。天つゆもそのまま舐めれば何ともないツユのように感じるが、天ぷらに付けた時には少し苦味の効いた引き締まった味になるから不思議だ。

店主の櫻井さんはとても現実的な方だ。語る口からは、実践的で現実味のある言葉が出てくる。そしてそれがお店に反映されいる。だが現実的なだけではない、やるべきことをやった上で験も担ぐ。商売の神様として、店には1000本に一本という珍しいエビスビールの瓶(鯛を2匹持ってる!)が飾ってある。白黒両方そろったビール瓶について、嬉しそうに語っていた。(ちなみに恵比寿でショットバーも持っているとのこと。)

開店間もないお店だが、計算された着実な経営。個人的には、ぜひとも県内に本物の天ぷらを気軽に食べられる店を増やして欲しい。値段の張る天ぷら屋ならあるだろうが、本格的な揚げ出しの天ぷらを気軽に食すということなら、今はここしか知らない。

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◎店舗情報

店名:天ぷら食堂 京風天ぷら 桜囲

住所:902−0065 沖縄県那覇市壺屋1丁目1−22

電話:(098)869−9255

営業:11:00〜20:00(日曜定休)

※正確な情報については、直接お店にお問い合わせください。

 

 

◎取材

記事、編集、撮影:豊嶋


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