沖縄良店

EN-YA 座・バル〜本場仕込みのイタリアンシェフがいる店〜

新都心から安里に向けての下り坂。バイパスの途中に小さな手書きの看板がある。

 

「EN-YA」

 

どうやら洋食のお店らしい。

店の前まで行くと、こじんまりとした店構えで、常連さん以外は寄せ付けない雰囲気。

 

ある日、知人のSNSにそのお店が載っていた。

実にうまそうな、シズル感のある肉料理の写真が目を引いた。

 

男二人、意を決して入ってみた。

そこは家族で経営する、つつましくもざっくばらんなイタリアンバルのお店だった。

 

注いでもらったグラスワインを見た瞬間、取材を決めた。

 

店内で子どもたちの世話をしながら店の営業準備をする、竹下夫妻に話を聞いた。

 

◎お店のこだわり

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−お店の名前の由来を教えて下さい。

「◯(まる)にちなんだ名前です。イタリア語でカッコイイのとかではなくて。私は丸いものが好きなんです。だからエン。エンというのは色々な意味があるじゃないですか。」

 

ちなみに店のマークはつばめのマークだ。このマークについて尋ねると。

「つばめ(燕)もエンと読みますよね。あと私が鳥が好きだと言うのがありますね。」

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−お店のコンセプトを教えて下さい。

「主人がずっとイタリアンでやって来たので。安くてもちゃんとした物を食べられる店をと。(この店は)ワインを飲むのがメインで食事も楽しめる。もともとバルがやりかったんです、昔から。気軽に(来れて)安くてもおいしい。(主人は)高いお店でもやってきていますが、お客さんがおいしいと言ってる声が聞ける方がいいということで、こういう店にしました。」

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旦那さんはイタリア、ピエモンテで修行してきた方。食材が豊富な街だそうだ。

そして、東京でやっていくにはイタリアでの修行は当たり前であり、スタートラインだったという。

 

−どうして、このお店をつくろうと思ったんですか。

「東京で主人が仕事をしてたころは、本当に朝から夜まで。子供の顔を見ることも出来なかったんですよ。沖縄では子どもと一緒にいられるように、と作ったお店です。」

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−お店作りのこだわりがあれば、教えてください。

「完全に居抜きのお店です。昔は居酒屋とか食堂とかをやってたみたいです。そのまま利用してます。何十年もこんなお店だったと思います。座敷は最初どうかと思ったんですけど、自分が子供を預けれる環境ではなかったのもありますし、赤ちゃんを連れてくるお客さんにも丁度いいかなと思って残しました。造作にもほとんどお金をかからなかったですね。本当にこのままで。(昭和風の黒石を埋め込んだ)床もそのまま使ってます。今では作れないよと言うお客さんもいましたから。最初のお店を作った人はお金をかけたんじゃないかな。コンロもガス屋さんが貸してくれます。」 

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−お客さんはどんな人が来ますか?

「常連さんが7割ぐらいですかね〜。30代から40代の男性。あとご近所とか、地元の方がほとんどなんで。子供がいてもいいよというお客さんですね。出張で単身赴任で来てる方とか。子育てを終えた方とか。マナーの良いお客さんばかりです。子供がいてもOKな人。良識のある人。タバコも外で吸う人が多いので、店内の禁煙もスムーズにできました。意外と子供がいることで、お客さん質が上がったような気がします。子供がいても、得意じゃなくても、ちゃんとお店を好きで来てくれてる人が多いかなって思います。」

 

−接客について何か気をつけてることはありますか?

「(ふふふ)あんまり考えてないですけどね。あんまり堅苦しくならないようにとは考えてますけど。元々あんまり仕事はそういうのをしてきてないので。」

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−メニューについて教えて下さい。

「安くても本格的なものをと考えています。お肉がメインになっちゃってきました。皆さんお肉がすきじゃないですか。お肉を求める人が多いんですよね。お魚も唐津の漁師さんから、直接入れているので、それを求めてくるお客さんもいます。内地(沖縄県外出身)の方ではそれを狙ってくる方もいますよ。」

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上の写真は串焼きイタリアン。それぞれの串に、細かい盛り付けと、別々のソースがかかっている。

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上の写真はロングセラーでもあるお店自慢のサラダ。

 

「ワインをいっぱい飲んで欲しいですね。ウチの料理はワインをいっぱい飲めるように作ってるので。」

 

たしかに。

このお店では、屋台の日本酒並にワインが波々と注がれる。

そこに本格イタリア料理が登場すれば、酒が進まないはずがない。

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◎採用について

−ここで働いてもらうなら、どんな人がいいですか?

「本気で料理が好きな人ですね。料理業界というか店というか、それが好きな人。料理が好きだということはお客さんを感動させることが嬉しい人なんですね。それがあれば、接客でも感動させようとします。だから基本は料理が好きな人です。仕事的にはキツイですからね。料理の世界は体育会系です。(フライパンが飛んできて)流血しながらも東京で続けてこれたのは、夢もあったしがむしゃらでしたね。厳しいけど一つ一つ出来るようになると、楽しくなってきます。最初からイタリアまで行こうと考えてました。」

 

−では逆に不採用というのはありますか?

「一般常識をもっててほしいですね。一般常識がないのはちょっとダメですね。沖縄時間とかなんかは言い訳にならないですね。社会人としてっていう最低限は持ってて欲しいですよね。ん〜プロ意識が持てる子ですかね。お金をもらってるっていう責任。そしたらこの程度でいいやとかはならないですよね。あと飲食が好きじゃないと働けないんじゃないかと。仕事も細かいんで、今まで(主人が)やってきたところが厳しいところだったので、そういうレベルを求めると思います。ちゃんと働きたい人じゃないと厳しいかなと、働けないと思います。お店はカジュアルだけど、仕事は厳しいです。けど、そういうところでやったら、あとあとすごく楽なんじゃないかなと、そう思いますね。」

 

◎今後の展望について

−それでは最後に、お店のこれからについて教えて下さい。

「倒れるまで。店としての責任は続けることだし、続けることが恩返しだと思ってます。沖縄の人たちにイタリアンを広げて盛り上げていきたいですね。修行もまた行きたいです。お客さんに対して、常に一定のレベルの料理を提供したいっていうのがありますからね。

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◎取材あとがき

 

取材の最後は、みんな笑っていた。

取材した方も、取材された方も。

子供達はきょとんとしていた。

 

店にいると不思議に気分がよかった。

なんでだろう?

 

ご夫妻の飾らない笑顔がステキだったからか。

それが親戚の家に遊びに来ている感覚にさせてくれたからか。

 

本格的なバルながら、肩に力を入れなくて良い店。

いや本格的なバルだからこそ、肩に力を入れなくていいのかもしれない。

 

今回の発見は以下のとおり。

一つは、本場イタリアで修行してきた方の手加減なしの料理が出るバルが沖縄に存在すること。

一つは、子供がいることで良識のあるお客さんしか残らないこと。

つまりお客さんの質が良くなること。

 

ここの常連客はこの店を誰にも教えたくないと言うらしい。

(だったら、週に3回は来てください!)

 

店の立地といい、大きさといい、料理のクオリティといい、

秘密にしておきたい、隠れ家的な店と呼ぶにふさわしい。

 

たっぷりと注がれるワインは、店からの愛の証だ。

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◎店舗情報

・店名:EN-YA 座・バル

・電話番号:098−868−3363

・住所:沖縄県那覇市安里63

・営業時間:18:00〜24:00(L.O.23:00)、日曜日18:00〜23:00(L.O.22:00)

・定休日:水曜+α

※正確な情報については、お店に直接お問い合わせください。

 

◎取材・編集

記事/編集/撮影:豊嶋


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