沖縄良店

大衆ろばた焼酒場 足立屋〜東京下町そのままの店〜

飲食のプロに、個人的におすすめの店を聞いてみた。

いくつかの名前があがる。

その店の一つが”東京焼き鳥の店”だった。

 

”東京焼き鳥”とは一体どんなものなのだろうか。

下見がてら実際に飲み食いし、会計をしてピンときた。

 

店は58号線線から見える住宅街の中にぽつんとある。

おもてには白地に黒で「足立屋」の看板。

暖簾をくぐれば、そこに懐かしい雰囲気の飲み屋がある。

 

昭和歌謡がかかる店の中、責任者の當山さんに話を聞いた。

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◎お店のこだわり

 

-お店の名前の由来は何ですか?

「店名の足立屋。これは足立区から来ています。」

 

-お店のコンセプトについて教えて下さい。

「東京の足立区、北区、板橋区、葛飾区とかもそうなんですけど、大衆酒場というのがあります。居酒屋じゃないんですよね。何が違うかと言うと、昔は居酒屋という言葉がなかった、酒場だっただんですよ。酒場には店の雰囲気というか貫禄があるわけですよ。大将が頑固で、テメエバカヤローって言いながらお客さんと会話するような、そんな粋な。庶民的なんです。付加価値を付けないんです。料理でも飲み物でも。付加価値をつけない。それが大衆酒場なんです。」

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−なぜ大衆酒場をやろうと?

「本当に庶民。庶民が千円札握りしめて飲みに行けるような。そういうふうな酒場が大衆酒場だと自分は思ってて。足立区自体そういう大衆酒場が多くて、(沖縄に移り住んだ人が)みんなで大衆酒場で飲んでいた頃を思い出す、と。でも沖縄に来るとこんなカウンターの店は少ない。みんな薄暗くて個室になっていて、店員をピンポン押して呼んで、店員もおしゃれな格好してるだとか。料理も創作料理とか。創作って何だ?ってね。料理は引き算ですからね。足せばいいってわけじゃない。というわけで足立区のノリでやろう、沖縄の人に提供しようと。まあでも最初は大変でした。浸透するまでが大変でした。でも結局は俺が好きだから。客数は必要ですが、それだけお客さんと出会えたり喋ったり。一人でも来れる店を作っていきたいな~と。そういうわけです。」

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-お店づくりのこだわりについて教えてください。

「この店はカウンター35席。カウンターメイン。こだわりはコの字カウンターですね。店もただの事務所だったところを(居抜きではなく)サラの状態から作りました。お客さんは地元の方が多いので、なんでカウンターしか無いの?とか言われます。カウンターでくつろぐとかまだ沖縄でイメージないじゃないですか。ここはゴーヤーチャンプルーもないですしラフテーもない、東京の酒場なんです。カウンターにすることで、お客さんと話しながら接客しながら調理が同時に出来ますから、ホールとキッチンを分けなくていいわけです。その分の人件費をお客さんに還元できると考えています。」 

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 -どういったお客さんが多いんですか?

「95%常連さんです。新規の方が珍しい。知らない顔がいないぐらい。週5来る人も10人はいますよ。もし知らない顔がいても誰かの紹介とか。」

 

-接客についてはどうですか?

「気を使わないようにしています。酒場は飾らないんですよ。粋であればいいんですよ。エナジーに満ち溢れていればイイ。今日はイイのがはいってるよ。食べないと損するよとか。寅さんみたいな。」

 

-メニューについてのこだわりを教えて下さい。

「600円以上のメニューはないです。あと80円とか中途半端な端数もない。全部50円刻み。明瞭会計。足立区はそうですよ。キンキも600円で出してます。キンキって知ってます?沖縄では知らない方が多いんですよね。グルクンじゃないですよ。那覇とかだと平気で4000円とかで出しているところもあります。おんなじものなのに。ウチの客単価は平均1800円。1800円でお腹いっぱいです。それは企業努力です。大衆酒場には結局そういう人情がある。値段設定がある。言っちゃ悪いけど安売りじゃない。クオリティは高いけど安いっていうね。」 

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メニューはテーブルでなく全て壁に張り紙されている。なぜだろう?

 

「日替わりなんで、毎日考えて書いてます。常連さんも飽きるじゃないですか。常連さん達に飽きさせないようにしてますね。川崎や北海道、全国にいる仲買人さんたちから、週に3~4回仕入れてますからね。焼き鳥も毎日串にさしてます。県産鳥の朝じめの鳥を。レバーとかは刺し身でも食べられるやつです。あと飲み物もウチでしか扱ってないものがあります。ハイリキとかうちしかあつかってないんじゃないかな。バヤリースとか、ホッピーとかキンミヤとか。キンミヤは三重で作ってる甲種の酒で、安くてうまい酒。営業所が東京にしかないんですよ。その方も店に来てくれましたね。」

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上は沖縄では珍しいドジョウの天ぷら。本場のサクサク感だ。

 

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上の写真の手前に写っているのは超巨大な串焼き500円。ピーマンがまるごと刺さっている。

下はもつ煮込の鍋。開店以来ツユを継ぎ足している。

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この品質と値段で料理を出すためには、仕入がとても重要だと感じた。

當山さんに、その秘訣というか心構えを語ってもらった。

 

「人付き合いです。業者、客、店で成り立ってるじゃないですか。当たり前のことを当たり前にやる。人として当たり前のことをやる。交渉はしないです。業者のおじさんも事情があるじゃないですか。そうやって当たり前のことを当たり前にやると、勝手にサービスしてくれるんです。目先の利益じゃないです。東京で店長やらせてもらって勉強させてもらいました。業者の方で三代東京でやってますとかいるんですよ。100年続いてるんですよ。業者という関係を越えた付き合いをさせてもらいました。一緒に釣りにいったりとか。礼儀を教えてもらいましたね。寅さんみたいなおじさんばっかりです。朝9時からお店が開いて、昼にはみんな酔っ払っているようなそんな街なんです。」

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◎採用について

-引き続き、スタッフを採用する際の基準があれば教えて下さい。

「粋。元気があることですね。元気があれば何でもできると思います。もうそれだけっすよ。酒場は活気だと思います。礼儀を知らなかったら教えます。」

 

-では、自分を変えたくて、元気な店に入りたい場合は?

「それはもちろん採用します。昭和の親父じゃないですけど、一度一緒に働いたら仲間です。僕は一度も人を切ったことはありません。ですが去る者は追わずです。足立屋に入ったら、飲食のサービスよりも、人として大切なものが学べます。人間性を上げたほうが成功するんですよ。接客をするのも人間。料理をするのも人間。結局人間でしょ。そんな上から人を見ちゃいけない。これから努力して、みんなで切磋琢磨していけばいいんです。」

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-不採用とする場合はどうですか?

「まず、入ってきた時に挨拶がない。挨拶ぐらいはね。あと平気で時間に遅れてくる人。面接中に携帯をさわる人とか。そういう常識がない人ですね。それを最初にやられちゃうとダメですね。飲食店なんてほら初対面の人ばっかりじゃないですか。それが出来ないのはもう。それが18才ならまだ俺もねえ。それが二十歳越えて三十まわってもできない人とかもいるじゃないですか。そういう人はね。もうね。それ以外はどうでもいいです。」

 

◎今後の展望について

-これからの展望についてお聞かせください。

「ネオ大衆酒場。自分で考えたんですけど。伝統を守りつつ変化や進化が必要なんですよ。今は店で鉄板を導入したんですけど、一体ココは何なの?と。鉄板専門の人がいるんです。鉄板とか、串焼きとか、おしゃべり上手なおばちゃんとか。一個のことを専門にやれる人が何人もいる。そういうメンバーがそろって足立屋がある。自分らが持つ大衆酒場という文化を持ちながら、自分の色を出していきたい。自問自答ですよ。常に手探りです。正解はないんで。お客さんをいかによろこばせるかですね。安くてうまければいいんで。」

 

−100年続けるというのはどうでしょうか?

「100年。そうですね。それもありますが、もっと人にたくさん出会いたい。もっと沖縄に広げたいですね。色んな地域に展開しようってことも考えてるんですど、今はこのお店の常連客から好きになってもらえるようにしたいです。その結果の100年。それで、この足立屋というジャンルを確立していきたいなと。」

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◎取材あとがき

驚く事なかれ。

実は當山さんは平成生まれだ。

 

しかしながら、彼が語る経営理念には昭和の古き良き含蓄がある。

きっと東京の下町で、おやじさん方から商売というものをしこたま叩きこまれたのだろう。

 

粗削りで飾らないスタイル。でも温かい。

この店の魅力はそこにある。

 

カウンターでお客さんの喜ぶ顔を見ながら、客と話しながら料理を作る姿。

店を開いて3年。先輩方から学んだ信念を曲げない。

お客さんを喜ばせるための差別化。決して妥協しない姿勢。

 

そこに若さは関係ない。

東京で商売と人情を肌で感じて学び、彼は達観している。

 

これなら100年続いてもおかしくない。

 

 

◎店舗情報

店名:大衆ろばた焼酒場 足立屋

住所:宜野湾市伊佐3-29-2 1階

TEL:098-963-9295

営業時間:12:00〜26:00

定休日:木曜日

 ※正確な情報については、お店に直接お問い合わせください。 

 

◎取材・編集

・インタビュー・記事:豊嶋

・編集:豊嶋

・撮影:豊嶋、長嶺


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