沖縄良店

おでん いこい〜40年以上変わらない味と値段〜

 

創業45年のおでん屋さんが、沖縄県うるま市にある。

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この店を知ったのは、ある仕事場での人との出会いから。

初対面で自己紹介し、本企画のことを伝えると、母の店を是非取り上げて欲しいと言われた。

 

「創業45年」

 

聞いただけで、店への興味と信頼が心に湧いた。

具志川郵便局の向かい、えんじ色の建物が「おでん いこい」

紹介してくれた人の母であり、店主である又吉さんに話を聞いた。

 

◎お店のこだわりについて

−お店の名前について、教えてください。

「私がきた時にはすでにお店があったんですよ。やっぱり憩える場所であるようにということです。」

 

−なぜ、おでん屋をはじめようと思ったんですか?

「このお店は姑が立ち上げたんですよ。私が嫁いできた時にはすでにありましたよ。だから45年。もっと前からあったはずだから保健所に調べに行ったら、保健所が移転したせいで記録が残ってなかったんですよ。それくらい古いです。だから実際はもっと長くて、創業何年だかわからないですよ。おでん屋さんはここら辺はいっぱい有ります。でも、でっかい鍋でやってるのはうちだけ。」

 

−お店にはどのようなお客さんが来るんですか?

「常連さんがたくさん来ますよ。常連さんに支えられたから、ここまで続けて来れましたね。あと家族連れも多いですよ。若い人も来ますよ。この前は、成人式の飲み会で使ったりしましたよ。」

 

−お店づくりについては、何かこだわりはありますか?

「カラオケの営業がよく来て『今どきカラオケがないお店はありませんよ』とか、『光熱費がまかなえる』とか言われますけど、ウチはおきませんね。ここはそういう店ではなくて、憩える場を保っていきます。」

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−接客については、何かありますか?

「特にないなー。食堂感覚でよく喋るようにはしてますよ。」

 

−料理についてはなにか有りますか?

「うちはおでんですね。大きいでしょ?タレは継ぎ足しで45年間つぎ足しているんですよ。昔は百円で気軽に食べられて、よく子供達が寄って食べていきましたよ。ウチのおでんは、おかずとして買って行かれますよ。鍋を持ってきて、買っていきます。近所のお祝いとかにも、買っていきますよ。」

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このお店、「おでんソバ」という珍しいメニューがある。

 

−この「おでんソバ」について、教えて下さい。

「このおそばは、おでんのツユでそばを煮込んであります。食べてみたら美味しかったから出してますよ。おでんソバはインターネットでも有名で、好きな具を3つ選べますよ。」

 

おでんソバにはしょうががふりかけてあって、それが実に爽やか。

苦手でないならば、トッピングは特大のてびちをお勧めする。

 

さらに、メニューの中に見慣れない名前があった。

 

−メニューで「み〜ち〜」ってありますが、コレ何ですか?

「沖縄で『3つ』という意味ですよ。昭和45年から47年に生まれた子どもたちが『み〜ち〜』といえば、安慶名の食堂ではごちそう。ご飯と玉子焼きとソーキそば。当時はソーキじゃなくてかまぼこが乗ってたんだけど、安くてお腹いっぱいになって子供達にとってはごちそうだったんです。息子に言われて始めてみたら、みんなが『あ、み〜ちってメニューがある!懐かしい!』と懐かしんだんです。み〜ち、たくさん出ますよ。」

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◎採用について

−ここで働く人の条件はありますか?

「明るく素直。そのほうがお客さんと接しやすいんじゃないかと思います。お客さんに対応できますよね。」

 

−では、不採用の条件はありますか?

「ん〜。それはいいよ。言わなくていいよ。」

 

−僕が「働かせてください」と言ったら、採用してもらえます?

「それはダメ。男性はNGですね。いこいはおばさん達でやりたい。」

 

−では、若い人が勉強したいから、働かせてと言ったらどうですか?

「それはOKですよ。ただし秘伝の味を教えるかどうかは分からないけど。昔、お店を出したいからって、うちの沖縄料理を教えたことがあるんですよ。山梨に店を出すというからOKしたんだけどね。できたら来てくださいって名刺をもらったけど、行ってないですね。」

 

記事の末尾を確認すれば分かるが、ここの営業時間だと店主が店を休まない限り、遠出する時間は決して無い。

 

◎今後の展望について

−固い聞き方になってしまいますが、今後の展望は?

「80歳まで続けていきたい。もう一つお店を出したらどうかとか、いろいろアドバイスはもらうんだけど、できない。ここで精一杯。お店は長男が継ぎたいって言ってます。料理ができない長男だけど。あの子はこういうのが好きだから。」

 

−最後に何かありますか?

「ないよ。あなた方が上手に伝えて。味には自信がありますから!(片手でガッツ)」

 

◎取材あとがき

「あがってください。」(食べてくださいの意)

快活で、かつ上品な又吉さんが度々口にしていた。

 

今回の取材では予想以上の料理のもてなしを受けた。

これが沖縄でいうカメーカメー(食べなさい食べなさい)攻撃かと思った。

しかし、まだ手加減をしていただろう。

ホンの序の口だったが、沖縄の母の洗礼を受けた。

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というか、このお店のメニュー自体が相当もてなしている。

 

おでんの具がドデカイ。

特に、てびち、昆布、揚げ豆腐。

コンビニのおでんと比べて2倍、いや3倍はあるかと。

しかも値段は全部百円。

 

同行した取材陣の話によると、昔はこういう雰囲気のお店が沖縄にたくさんあったという。

 

今、沖縄ではどんどんお店が出来て、どんどんお店がなくなる。

そんな中、子供の頃の懐かしい記憶が蘇るこういう店が存続しているというのは、非常に貴重。

又吉さんのハツラツと働く姿を見るとまだまだ先のことだろうが、店は長男が継ぐ予定だ。

今は立派な大人になったあの頃の子供たちも、これで一安心。

子供の頃の気持ちにいつでも戻れる。

 

変わらない店の空気が、また末永くここに在り続けることを約束された。

 

行けばまちがいなく、腹いっぱいのおでんと元気をもらえる。

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◎店舗情報

店名:お食事処 いこい

住所:〒904ー2221 うるま市平良川206−2番地(具志川郵便局向い)

TEL:098−973−4061

営業時間:11:30〜26:00

休み:最終日曜日のみ

※正確な情報については、お店に直接お問い合わせください。

 

◎取材

記事:豊嶋

編集:石川、照屋、豊嶋

撮影:石川、照屋


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