沖縄良店

黄色い船〜初めてにやさしいヤギ料理店〜

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「黄色い船」

一見、名前からは、メルヘンチックなお店が思い浮かぶ。

聞けば意外や意外、山羊料理の店だという。

筆者はヤギが正直苦手だ。料理は他にもあるだろうし、どうにかしてヤギだけは避けつつ、

知人の勧める理由を理解すべく、取材することに決めた。対応してくれたのは店長の棚原さん。

当日、スタッフが急遽抜けるらしく、店の前で焼き鳥を焼きながらのインタビュー。

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◎ 店のこだわり

店のコンセプト「誰にでも食べやすい山羊料理」

―まず、店を始めようとしたきっかけは何ですか?

店長「きっかけは、元々おやじとおふくろが一階で山羊料理だけの小さなお店をやっていたんですよ。その時、自分は弁当屋をやっていて。その時はこの店の二階でやってて、回転が悪かったんですね。それで、一階で弁当をつくって、出せるように改装しようとしたんです。で、思い切って、これを機に居酒屋にしてしまえということで。親からバトンタッチして、それから。」

 

―なるほど、何か料理についてこだわりなど有りますか?

店長「こだわりっていったら、山羊なのかな。やっぱりおやじとおふくろが残した山羊料理というものを、若い人や、県外の人に、食べやすいようにというのがうちのコンセプトなのかもしれない。他でもちょくちょく山羊料理は食べられるじゃないですか。でも自分なんかは、食べやすさ、食べやすいヤギを提供してあげたいなって。」

食べやすい山羊料理?本当だろうか。どんなヤギ料理なのか気になる。

ちょうど仕込みの最中だったので、少し様子を撮影しようとした所、これは企業秘密ということでNGとなった。

 

そこで、取材後、実際に山羊料理を食してみた。

おそるおそる口に入れると、『おや?』例の獣くささが全然しない。

言われなければ、馬肉を食べているようだ。

ヤギについては、トラウマのある筆者も、一口また一口と箸が進む。

ここで、ヤギを最初に食べていたら。

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お店づくりのコンセプト「全て手作り」

ーお店づくりについてのこだわりは?

店長「手作りです。全部手作りですよ。大工さんと一緒に自分らで作りました。どこかの店を真似したわけではなくて、全て木で、床板と足場板というのを使って。一番はお金をかけずにというところが大きいですが。」

 

聞いて驚いた。店内は全て木なのだが、作りもしっかりしており、板に焼き入れも施してある。

店の2階には、団体用の個室も用意され、ビールサーバー、カラオケ、大画面テレビ。

ベンチ式の椅子が綺麗に並び、貸し切りで騒ぐには持って来いだ。

コレを全て自分らでやったというのだ。素人の技とは思えない。

そして、お金をあまり掛けたくないという事情があったにせよ、

こうして作られた店からは、ほんのり人の温もりを感じとることができた。

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お店の持ち味「必ず誰か知り合いがいて、ゆんたくできる」

―どういったお客さんが多いんでしょうか?

店長「これは、95%が常連です。これが自分らなんかの味ですね。必ず誰かと会えるから楽しい。逆にデートとかには他の店を薦めます。うちは必ず誰かに会うから。それが自分とこのいいところ。他との差別化としては、『誰かがいる』。自分もおやじなんかも含め、常連のお客さんは、皆この地域で生まれ育ってます。その繋がりで。」

 

―常連とはいえ、何か接客について、気を使っていることはありますか?

店長「基本はとにかくゆんたく(おしゃべり)する。お客さんがどこに座ろうが、ゆんたくするんですよ。どの席に座っていても。スタッフは家族4名、後輩2名。皆家族みたいにやってるから、友達が来れば、一緒に酒を飲むし。おやじとおふくろは、ゆんたく係みたいなもんです。仕事よりもゆんたく。おやじは三線も引くし、楽しく飲んで、それが仕事。だから楽しいと思います。まあ、忙しい時には、『ゆんたくやめてくれないかな〜』という時もありますが、これがうちのスタイルです。」

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―そういえば、『黄色い船』の由来は何ですか?

店長「前の、おやじとおふくろの店の名前です。これは、かぐやひめの唄で『黄色い船』っていう歌があるんですよ。おやじとおふくろがその歌が好きで、つけたらしいです。」

 

ちなみに店の上から船の先端が飛び出している。このことを聞くと。

店長「居酒屋にする時につけました。全部手作りですよ。溶接して。自分らで上げて、抑えて、また溶接して。お金かかってない。全面改装したんですけど、2ヶ月位かかって、みんなで。勉強なりました。失敗しながら。居酒屋もそうだったし、弁当屋もそうだけど。チャレンジしていくのがスタイルです。」

今後の展望「夢とつなげていきたい。」

―最後に、今後の展望について、聞かせてください。

店長「自分は元々、居酒屋をやりたくてやってる訳じゃないんです。実は音楽活動をみんなでしてるんですよ。家族とか弟とバンドを組んで。それがしたくて。それで、収入源としての居酒屋。地域のみんなから愛される居酒屋であることは大前提として、自分の夢というか進むべき道は、もっとたくさんの人に音楽を届けていきたいです。それイコール、店も盛り上がりますしね。

昨日も、10組のお客さんのうち、3組ぐらいはお祭りの時のライブを聞いた人でした。
つながってますね、いろんなのが。」

店をやる理由は、人それぞれ。そして夢や目的もそれぞれ

それがあるから、仕事も本気でやるし、楽める。

 

ちなみにバンドの名前もヤギがモチーフ。童話からとった

やっぱり、ヤギカラー。

◎ 採用について

採用の基準について「一番は、素直さ」

―それでは、スタッフ採用について、基準を教えて下さい

店長「経験上一番は、素直さだと思うんですよ。シンプルに、当たり前のことができればいいです。例えば過ちを注意されたら『ごめんなさい』と言えたりとか。当たり前のことができることが全てだと思います。僕も居酒屋はゼロから始めました。わからないことばかりでした。だから、小学校で習ったことでいいんです。仕事中に『コレしたらダメ』とかはないです。ただ、常々、『考えて行動しような』ということは言ってます。」

実にシンプルな答えだった。
その当たり前を継続することが、今、いかに大事か。

不採用の基準について

―では、これはNGというのを聞かせてください。

店長「気持ちがあれば、雇います。人間よっぽどじゃない限り、成長すると思ってます。」

 

それでも敢えて、不採用基準を聞かせてもらおうと、店長に食い下がったが、
やっぱり出てこない。

 

店長「ん〜。この前、若い子を雇いました。まだ4ヶ月ぐらいですかね。お客さんの前で笑わない。もっと器用な方がいいかなと思う時もありますが、こないだ、その子が『レジ触ってもいいですか』って聞いてきたんですよ。普通、自分の方から、こういうことを言わないです。自主性があればどんな人でも変われると思います。自分でやりたいと思えば。やらせてみて自信を持つ。自分から、積極的に。難しくないです。頑張りたければ。」

 

―分かりました。(一旦あきらめかける)では、なぜ、そう思えるのですか?

店長「自分もそうだったからかな。悲しい苦しい事があったから。人は変われると思う。昔ヤクザでどうしようもないやつでも、変わりたいなら、いつでも応援したい。あっち行けとはしないです。自分は不器用だったから、なんでもやれば出来るということを教えたい。そのことを気づいてほしいです。」

 

―また、聞きます。コンナ奴は許さないというのは?

店長「ん〜。自己中心のやつは会いたくもない。人に甘えてばかりで、逃げてる奴。仕事、約束、時間に遅れて当たり前。相手に迷惑をかける。要は、やってよと言ってやり切らない人。自己中心だと思う。今は選択ができる時代じゃないですか。選択の自由がありますよね。どんな事があっても、仕事はできると思うんですよ。僕らは障害者のために、唄をつくってます。自立不可能だと思うほどの人も、花の手入れとか、言われたことをしているんですね。やれる環境にいて、やらないは考えられないですね。仕事して当たり前。タダで飯は食えないです。まあ、親がそうさせてしまっている環境とかもあると思いますけど。」

 

大分、無理を言って聞き出した。

 

結局、棚原さんは全ての人の可能性を信じようとしていた

 

チャレンジ精神があれば、何事もやっていける。

夢の実現に向け、工夫し、分からないことは調べて、

できることは自分でやり、コツコツと積み上げる。

 

やれば、形になるということ。

自信とはそんなとこからやってくる。

 

人として、そうアドバイスされた気がした。

◎ あとがき

インタビューの途中、特に不採用についての話を聞くとき

後ろ向き、否定的な言葉が殆ど出てこなかった。

どの言葉にも、夢と希望と愛情と人情が必ずくっついていた。

本当に優しい。

 

そして、漠然と感じたのは、きっと笑顔の奥の奥では、

明るいだけでない何かをを見つめ続けているのではないかということ。

そういうことがあって、出てくる言葉なのだろうなと感じた。

 

それはさておき。

ここはヤギ料理が俊逸だ!

山羊料理を初めて試してみるのなら、

もしくは山羊料理が今まで嫌いだったならば、

ここに行ってみることを強くお勧めする。

アノ臭いの不安はゼロと言ってイイ。

ここでは、地元の沖縄人とのゆんたく(おしゃべり)と、

優しさのこもった山羊料理を思う存分堪能できる。

 

ヤギが苦手な人、信じるものは救われる!

黄色い船への乗船をオススメいたします。

◎ 店舗情報

居酒屋 黄色い船
住所 沖縄県浦添市当山2−5−1
電話番号 098-870-8181
営業時間 18:00〜1:00(L.O.:24:00)
定休 日曜

◎取材編集 ・インタビュー:豊嶋 ・撮影:石川 ・編集:照屋


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